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金沢地方裁判所 昭和60年(特わ)133号 判決

本籍

富山市新庄町五一番地

住居

金沢市入江一丁目二九四番三号

会社役員

三鍋恭彦

昭和七年六月二日生

右の者に対する所得税法違反事件について、当裁判所は、検察官中松村夫出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年六月および罰金六〇〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定したから三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、金沢市増泉一丁目一六番三〇号第一得栄ビル一階において、「プロポーションユニー」の名称で痩身美容機材卸業を営むとともに、同市堀川町四番三号正田ビル三階ほか一四か所において、「プロポーションユニー金沢駅前教室」等の名称で痩身美容教室を経営していたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、痩身美容機材卸売上の全部を除外するなどの方法により所得を秘匿したうえ、昭和五八年分の実際の総所得金額が三億四〇〇二万三四二〇円、分離短期所得が二万九八八八円(別紙修正損益計算書参照)で、これに対する所得税額が、源泉徴収税額八四万二八二三円を控除すると二億三九五三万六八〇〇円(税額の計算は別紙税額計算書参照)であるにもかかわらず、昭和五九年三月一〇日、当時の被告人の住所地(東京都渋谷区道玄坂二丁目二六番一号)の所轄税務署である東京都渋谷区宇田川町一番三号所在の渋谷税務署において、同税務署に対し、総所得金額が一五四五万六〇〇〇円で、これに対する所得税額が源泉徴収額五九万六六〇〇円を控除すると四一一万四六〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により昭和五八年分の右正規の所得税額と右申告にかかる所得税額との差額二億三五四二万二二〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書五通

一  齋英雄、酒井敏雄および高岡祥之助(三通)の検察官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の査察官調査書五二通および官調査書

一  金沢税務署長作成の昭和五九年八月三日付証明書

一  「昭和五八年分(犯則用)所得税更正決議書案」と題する書面

一  金沢市長作成の住民票謄本

一  押収してある雑書(会社関係)一綴(昭和六〇年押第五六号の一)および売上帳綴(五八年分)五冊(同号の三)

(法令の適用)

被告人の判示所為は所得税法二三八条一項に該当するところ、所定の懲役刑と罰金刑とを併科し、かつ、情状により同法二三八条二項を適用することとし、その所定刑期および金額の範囲内で被告人を懲役一年六月および罰金六〇〇〇万円に処し、刑法一八条により、右の罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

昭和六一年三月二八日

(裁判官 樽崎康英)

修正損益計算書

自 昭和58年1月1日

至 昭和58年12月31日

〈省略〉

税額計算書

〈省略〉

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